Re.(12) 断熱膨張に伴う温度低下の関連性

  • 投稿No.875 元投稿No.874 さんへの返信
  • 投稿者:佐伯
  • 投稿日:2022-01-22 12:56:33

せきたにさんへ お考えはだいたい分かりました。

事故機に発生した視界を遮るような白い空気の状態は、霧(液相状態の水の微粒子)ではなく、煙(何らかの燃焼現象に伴うがガスの一種)である可能性は否定できない、ということですね。
しかし、当方としてはやはり、急減圧に伴う霧と解釈するほかないと考えます。発生と霧散の理由がはっきりしていますし、マスク落下と客室高度警報発報の事実ともよく合致するからです。

私見ですが、仮に機内に煙が充満したのなら、今度は煙を瞬時に機内に行き渡らせた力が何なのかまったく不明になります。
そして、その煙が瞬時に消えた理由も不明です。

生存者証言による白い霧はすぐに消えたのです。これが急減圧否定の根拠の一つにもなっている。
霧を煙に置き換えてみても、空気の流れがないとするなら、煙がすぐに消えるのはとてもおかしいです。
機内の空気全体を瞬時に入れ替える必要がある。

どうして煙はすぐに消えたのですか? 
なぜ酸素マスクは一部ではなくほぼ全部が同時に落下したのですか? 
そもそも煙の発生原因は何ですか?

急減圧発生(十秒以内で外気圧まで)を想定する以上に無理があると思います。

> 急減圧が発生したのなら、それに伴う現象は温度が低下し、空気中の水分が状態を変えて水蒸気になるというだけでは済まないはずだが、まず生存者の証言からは寒かったという言葉が聞こえてこない。

他にも類似の急減圧事故は起きていますが、寒く感じたとの証言はあまり見られませんね。
これも私見ですが、寒かったという積極的な証言が確認できない理由として、断熱膨張により乾いてしまった空気では肌が冷たさを感じにくくなる、緊急事態により意識が他に向いたなどがあるかもしれません。

> 天井裏の後方に当たる箇所の圧力隔壁説に穴が空いて急減圧が起きたなら、天井裏にだけ断熱膨張に伴う(垂直尾翼を吹き飛ばすほどの)空気の流れが生じたというのは非合理だ。

まずは、報告書をよく確認していただきたいと思います。
大前提として、報告書は、「天井裏にだけ断熱膨張に伴う空気の流れが生じた」とは言ってません。

報告書はまるめるとこう言っているのです。
ある基準となる条件のもとでは、客室気圧は、約7秒で外気圧と釣りあう。この場合、空気の流れは、客室「断面」平均で約10m/秒。
障害物となる客席等のある流線よりも、天井付近の流線の方が早かった可能性がある。

よろしいでしょうか。そもそも、だれも天井裏に猛風が吹き荒れたとは言っていないのです。
平均約10m/秒で、早い部分と遅い部分ができたかもしれないことを示唆している程度です。

早く流れた部分の一つが天井裏であった可能性が他の研究者から示唆されているのです。
仮に天井裏に、全体平均の10m/秒よりも早い例えば15m/秒の風が吹いたとするなら、天井裏の方が早く流れた分、圧力はある程度低くなる。

> 天井材そのものが何ともないわけがない。

落合証言では、天井に通じる点検パネルが開いたとのことです。
これは、天井裏と天井下で圧力差が生じていた可能性を示すものだと私は考えます。
前方の天井材の状態は確認できていないので、天井材そのものが何ともないかは不明です。

> 深刻な酸素不足が起きるはずだがパイロット達は最後まで酸素マスクを装着せずに操縦を続けていたというからそれも不可解だ。

酸素不足についてはほぼ答えは出ていると思います。
日乗連パンフレット「急減圧はなかった」において、「各高度における有効意識時間と意識消失時間」(資料28-1)が提示されています。
これは、事故機の乗員らが酸素マ スクをつけずに気絶しなかったのはおかしいことを裏付けるために示された航空医学のデータですが、奇しくも、気絶しなかったのはおかしくないことを示しています。

資料28-1によれば、意識消失時間は、高度23000フィートあたりを境界にして大幅に伸びます。
事故機はフゴイド運動を繰り返しながら、徐々に高度を下げていったため、平均としては概ね高度23000フィート以下にいたのです。
つまり、意識レベルの低下を認められつつも、気を失うまでには至らなかったことが十分考えられます。

> やはり私の場合は「霧」ではなく「煙」であったと考えた方がバランス感覚としては違和感が少ない。

当方の見解はやはり、霧とするのが妥当だと思います。
酸素マスク落下、高度警報発布の事実があります。
一方、爆発物の化学的な痕跡も爆発に伴う物理的破壊の痕はありません。爆発を示唆する振動も感じられていません。

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