Re.(7) 断熱膨張に伴う温度低下の関連性
- 投稿No.860 元投稿No.859 さんへの返信
- 投稿者:佐伯
- 投稿日:2022-01-20 19:06:26
風の便りさんとの解釈の相違を比較しやすくするために、風のたよりさんのコメントに当方の見解を並べてみます。
> 1, 事故調査報告書にある大きな穴が隔壁に空いて、かつエアコンが無しの状態。
> 断熱膨張により機内温度はマイナス40℃に低下します。
> 機内圧が大気圧に釣り合うことで空気の流出が止まった留まった瞬間にマイナス40℃になります。
> その後、換気が行われ機外温度のマイナス17℃で固定します。
断熱膨張により機内温度はマイナス17℃付近に低下するものと考えられます。外気がマイナス17℃だからです。
機内圧が大気圧に釣り合うことで空気の流出が止まったとき(隔壁破損から10秒以内)に断熱膨張も止まります。
膨張が止まるのだから、室内温度が、外気温マイナス17℃を大幅に下回ってマイナス40℃になることはない、と考えられます。
> 2, 1の条件にエアコン有りの状態。
> 事故調査報告書の解説書のページ9,10,11にあるようにいったんマイナス40℃に低下し、そこからエアコンにより±0℃に上昇する。そしてそれに120秒掛かると書かれています。
> しかし、これは嘘です。
> 機内の空気が換気される条件が抜けた計算をやっています。
> よって、エアコンが効いていても、もっと時間がかかる掛かるか。または±0℃にも到達しなかったと考えます。
室内気温がいったん外気温付近まで下がった後は、高温高圧の与圧空気が供給され続けているので、マイナス17℃から徐々に回復していきます。
多くの人が誤解していますが、事故調査報告書は事故機において客室温度が実際にマイナス40℃になったと推定しているわけではありません。
解説書のページ9,10,11に引用されている温度変化の図は、特定条件下での標準大気の振る舞いを示したものであり、実際の客室の状態を再現したものではありません。ここが大きな誤解のもと。
なお、標準大気とは、航空などでモデルとして用いられる仮想の基準大気であり、1985年8月12日18時の相模湾洋上の空気状態とは異なるものです。
> 3, 隔壁に空いた穴が極めて小さい場合
> この場合は明確な断熱膨張にならず、機内温度は0℃から8℃くらいでまでしか下がらないような条件です。
> この場合、エアコンによりプラス10℃から15℃の範囲に固定されたと考えられます。そして生存者の証言にもっとも合致すると考えます。
明確な断熱膨張にならないとの見解は、概ね同意です。
しかし、この場合、数秒間のうちには霧の発生は起こりません。
徐々に温度気圧が低下していくのであれば、数秒間では、露点付近(0℃から8℃くらい)に到達できないからです。
断熱膨張がなかったとすると、生存者による衝撃音直後の霧の発生が説明できなくなります。
よって、 隔壁に空いた穴が極めて小さいとの推定は成り立たないと考えられます。