読書感想 「永遠に許されざる者」(小田周二さん 著) その2

  • 投稿No.74
  • 投稿者:せきたに
  • 投稿日:2021-09-20 21:21:11

 『永遠に許されざる者』を読むと、事故後、しばらくの時間が経過するまでは冷静に事故の分析も出来ず、傍観者の立場であったと言われる。
その後、事故調査委員会が1987年6月に公表された報告書に記載の事故原因に則って、加害者とされる組織「ボーイング社」「日航」「航空局」の三社を相手に告発された前後から、
著者が特に日本航空という会社と長年に渡り、どれだけ妥協を許さず、懐柔されることもなく、真摯に向き合われてきたのかがわかる。

 著者はその結果、結論として「日本航空は実は加害者ではなかった」と言われ、日本航空は加害者ではなく、むしろ被害者に近い存在であったのだが、あえて加害者役に徹してその役割を演じてきた。
あるいは真の加害者からの意図に従って加害者役を演じさせられてきたにすぎないのだと言われる。

 ただ、読書感想としては、小田周二さんの言われる「加害者」というのは必ずしも実行犯という意味ではなく、
「事故原因を知っていながらそれを明かさず、隠し通している存在」即ち、「悪意」である存在のことを仰られているように感じる。

 著者は、日本航空は犠牲者遺族と同様に本当の事故原因を知らされていない存在であるという。
 ところが、自ら「加害者」と称する日本航空が犠牲者に対しては「被害者」あるいは「犠牲者」とは呼ばず、「遭難者」と呼び、あえて加害者役を演じ、「補償金」ではなく、「見舞金」を支払ってきたと言われる。

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