Re.(16) 富士山目撃にかかる検証
- 投稿No.622 元投稿No.618 さんへの返信
- 投稿者:風のたより
- 投稿日:2022-01-08 12:39:11
文系ちゃん様へ
航空機しかもB747そのものの油圧機器の情報は持ち合わせておりません。
以下に私が書くことは油圧機器の一般論として聞いてください。
1,油圧機器の仕組み
古いB747油圧のように「メカニカルなケーブル連結機構」+「油圧によるアシスト機構」を持ったものの場合、
左右どちらかのパワーシリンダ―(実際にアシスト力を発揮するピストンとシリンダーの組み合わせた注射器のようなもの)へ油を送り込むための左右切り替えとケーブルのテンションに応じて圧力を可変にするバルブが存在します。
このバルブは、操縦桿側からのケーブルテンションで操作対象物(エレベータなど)を動かすサポートをするのと同時に、操作対象物側からの力によってもバルブは作動して力を発生します。
例えば、操縦桿を中央に保持した状態でエレベータに上向きの力が加わるとバルブが作動し下向きの油圧が発生しエレベータを中央に引き戻す働きをします。
そして、そのバルブからパワーシリンダーの間にオリフィス(絞り弁)が設けられることがあります。
人間が操縦桿など回転系のものを操作する際、最大回せる回転速度は10rad/sec程度あります。こうしたあまりに素早い操作をされるとポンプからの油の供給量が追い付かず、操作系に急激なステックを発生することがあります。
このオリフィス設定の主たる目的は、操舵速度の上昇に伴い要求される操作力をなだらかに大きくすることで操舵輪の回転速度を上げさせないようにすることです。
2,もう一つのオリフィスの役割
オリフィスは操作対象物(B747なら可動翼)の振動を減衰させる効果も持ちます。こうした操作対象物の振動はランダムではなく共振周波数を持つためその周波数を狙った減衰特性を持つオリフィス穴径に調整する場合があります。
ただし、先に述べた「操作力のなだらかな操作力の上昇」にするオリフィス径と振動減衰のためのオリフィス径が同じになることは滅多にありません。その場合、「操作力のなだらかな上昇」を優先した設定がされることがあります。
3,操作対象物の振動への対処方法
これは単純です。ショックアブソーバ(=フラッタダンパ)を別に設けて操作対象物の共振振動を抑制します。
4,B747(123便)の場合
油圧配管が健常で油圧ポンプが停止している場合は、回路中の油が邪魔をして操作系を動かすことはほとんどできなくなります。自働車のパワーステアリング(アイドリングストップ車は除く)も同様です。
123便のように油が全喪失するとオリフィスは効かなくなります。ショックアブソーバのみが作動してカルマン渦によるフラッター振動を抑制していたと考えられます。ですので、可動翼部はパタパタとはならなかったと考えられます。
先ほど述べたように油圧パワーアシスト装置の特徴として操作対象物に加わる力によってバルブが作動し対象物を元の位置に引き戻す効果がありますが、123便の場合この機能が失われていました。
ですので、操縦桿にはカルマン渦による振動や機体の姿勢変化による可動翼への抗力変化などの反力は逐一伝えられていたと考えられます。操縦桿を中央に保持するだけで相当の力が必要になっていたと想像します。
これは私の感想ですが、B747において油圧回路の一部が破れた場合、油の全喪失を防ぐカット弁が付いていなかったのか?が不思議でなりません。「4系統あるから大丈夫」という間違ったフェイルセーフしか持たなかったのが残念です。
以上、長文で申し訳ありません。ご質問がありましたらしてください。
追伸:油圧回路が破れた場合、メカニカルケーブルの動作によりパワーシリンダ内の油はシリンダから追い出され空っぽになります。そうなると油による抵抗はなくなります。パワーシリンダの最初の一往復は油の抵抗は残りますが、それ以降はスカスカになります。
初期のB747開発当時、SAEにより完全な「ステアバイワイヤ」化は禁止されていたと記憶します。規定には手で動かせるかどうかは別にして「メカニカルに連結」されることが求められていました。完全なステアバイワイヤはB747の400型にならないと許可されていないと思います。