Re. 圧力隔壁の修理ミス?

  • 投稿No.415 元投稿No.406 さんへの返信
  • 投稿者:
  • 投稿日:2021-12-29 23:06:52

嵐です。
今回は、隔壁修理に関してボーイングの指示した「修理書内容」そのものについて世間の認識と実際が異なる点について書いてみたと思います。

はじめに
1985年に墜落事故の数か月後にNHKが放送した特集番組(これは今でもYouTubeで観れます)の中でボーイングの修理書の写しが出てきます。
また同番組の中でどこかの大学の先生に依頼した疲労耐久試験の映像が出てきます。
その内容は、ダブラが2分割された圧力隔壁のミニュチュアを使って引っ張り試験を行って1万数千回でリベットとリベットを結ぶように亀裂が生じて破断するというものです。
以下に書くことは、この試験状況を観ていただいた方がイメージしやすいと思います。
是非、動画を観られた後に再度読み返していただくことをおすすめします。
*疲労試験の動画はNHK特集「墜落」ー日航機事故調査報告書ーです。今現在NHKのアーカイブには見当たりません。今朝私が探したところ
YouTube→がんばろう日本→123便はなぜ墜落したのか、日航機事故調査報告書を検証, 2021/11/09の冒頭から16分59あたりから疲労試験が始まります。

本文
オリジナルの隔壁は多数の短冊を重ねてそれらをリベット結合でお椀形状の隔壁にしています。
なので基本重なった部分は2枚重ねでその部分をリベットで結合しています。
ところがボーイングの修理書は新旧隔壁の接合部にダブラを挟んで3枚合わせを指示しています。

実機では、お椀状の隔壁の凹んだ側に圧力を受けるのですが、それに相当する力を引っ張り力に換算して大学のアムスラー試験機で耐久試験を行っています。
その方法は少々実機と入力モードに違いが生じますが、全くの的外れではありません。引っ張る力は客室与圧に相当する力で繰り返し試験をしています。
試験の動画を観ていただきたいのですが、引っ張られる「上側の板」と「下側の板」の動きに注目して観てください。
特に板コバ側から見た際の板の曲げ方向の変形に注目してください。
すると上下2枚の板はリベット位置で板曲げが発生しています。この曲げが隔壁に亀裂を生じさた原因です。
何故、板に曲げが生じるのか?ですが極限に薄い2枚板をリベット留めするとこの曲げは発生しません。
しかし、実際の板には板厚があるため2枚の板は接していますが引っ張る力どうしがオフセットします。
合わさる2枚の板厚をそれぞれ1mmとすると両者の力は0.5+0.5=1.0mmのオフセットが生じます。
(試験機のチャックで咥えられた板の引っ張り力はミクロ的には板厚中央に掛かると考えます。)
このオフセットがリベット列に曲げを生じさせます。
板厚1mmの3枚合わせの場合は0.5+0.5+1.0=2.0mmと一気に2倍になります。

材料強度的に考えると2枚合わせの1.0mmオフセットの接合部耐久回数を50000回とすると
3枚合わせの2.0mmオフセットになると曲げ応力が2倍になり耐久回数は約1/2~1/5の25000~10000万回に落ち込みます。
(約1/2~1/5になると言ったのは専門家ご存じのことと思いますがアルミのs-n線図の傾きがハッキリしないため耐久回数に大きな幅が生じるためです)
以上のメカニズムを123便の修理箇所に当てはめるとどうなるのか?

結論
ボーイングの指示した修理方法ではたとえダブラを2分割しなかったとしてもオリジナル接合部の1/2~1/5の寿命しか持ち得なかったということになります。
そのためダブラの2分割は墜落の直接原因に成り得ない可能性が高いと考えられます。指示した修理方法そのものが原因だった可能性があります。
これも一般に知られている「隔壁修理ミス」の内容と乖離しています。
また、今回書いた内容も事故原因はボーイング社にあるのだから責任の所在は何ら変り無い。
とおっしゃる方がおられると思います。法的にはそうかもしれませんが、技術的には大変大きな違いがあります。
工業製品に完璧は無いので、何等か不具合が生じた場合「再発防止」にて対策を練る必要があります。
こうした意味で墜落原因の「真因」追及は次の墜落を防ぐためのものであることをご承知置きください。
残念ながら123便後に台湾の飛行機が墜落しています。

次は、NTSBのシュリード調査官が自分の名刺に描いた図とActive one line rivet.について書きます。

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