『日航123便墜落事件 JAL裁判』(青山透子著)からの抜粋 「出回っているボイスレコーダーについて」(その7)
- 投稿No.2386
- 投稿者:せきたに
- 投稿日:2022-12-15 21:12:51
『日航123便墜落事件 JAL裁判』(青山透子著)には、生データの本来あるべき取り扱われ方について記されていた。
以下42ページからの引用
さて、質疑応答が始まった。まず幹事の共同通信社から、次のような質問が出た。
「フライトレコーダーもボイスレコーダーも国が持っていた時期があるとのことでしたが、今、どこが持っているのかといえばJALが持っているとのことでした。これを開示するかどうかはJALの裁量ということで、国は全く関与していないという認識でよろしいのでしょうか」
これについて、三宅弘弁護士は、
「国が持っているとすれば、情報公開請求の対象と(遺族でなくとも)誰でもが請求できますので、『行政機関の保有する個人情報保護法』に基づく本人開示請求の対象になるわけです。うがった見方をすれば、国が持っていればそういうことになりますので、JALに返してしまえという発想で、こういう話になったのではないかと思います。
私は公文書管理委員会委員を2011年から2018年までやっていまして、歴史的公文書は本来公文書館に移管すべきだということで制度作りをずっとやってまいりましたが、こういうものは基本的に、事故の調査が終了したらJALに返すべきではなく、本来ならば国立公文書館に移管すべきものです。法律の中には寄付という制度もありますので、JALは私企業として持っているということはおかしいのであり、これらは特定歴史的資料ですから、JALは公文書館に寄付すべきだと思います」と語る。
当然のことながら、先進国のどの国でも重大事故の調査資料や原本はその国の事故調査委員会が保管管理をしているのだから、JALとボーイング社が修理ミスを犯したという結論を出しながら、その当事者たるJALに原物を返すというのはおかしな話であり、三宅弘弁護士が言うことはもっともである。さらに具体的な説明が続く。
「つまり、いったん公文書になったものを、私文書に戻してしまう、こういう取り扱い自体もどう考えてもおかしいので、その辺りも今回の訴訟で明確にしていきたいと思います。
また裁判の記録自体も、今までは判決書きだけが残り、例えば憲法問題になったものも残らなかったわけですが、いろいろと運動をしてきた結果、訴訟記録も全部残しましょうという制度が自主的に働きかけていますので、今回の訴訟に関しても、訴訟記録も含めてすべて歴史的資料として、ボイスレコーダーもフライトレコーダーも将来に向けた国民共有の知的資源として、事故を二度と起こさないためにも、真の原因究明に役立つように資料を使うべきであって、JALが持っているだけ、というのはだめだと考えております」
事故調査委員会が保管した公文書資料を私企業のJALに返却すること自体が変だということだが、まさにその通りである。
どこの世界に、公文書となったものをわざわざ私文書に戻し、それの開示を拒む企業があろうか。公務員であれば当たり前におかしいと皮膚感覚で感じるだろうし、一般人もさすがに社会性がある人は気づくだろう。これらの事故調査委員会の行為そのものが不正行為で、わざと自分たちの責任逃れのために返却した、と言えるだろう。さらに、その公文書であった資料の開示を拒む立場でもないにもかかわらず、JALが非開示を主張しているその思惑はいったい何か。これも裁判中に明らかにしなければならない。いずれにしても、あってはならないことなのである。