Re. 圧力隔壁の破壊

  • 投稿No.1722
  • 投稿者:佐伯
  • 投稿日:2022-05-09 23:08:55

横から失礼。技術的な誤解を振り撒くのは好ましくないと考えますので軽くコメントします。

> この中のページ10の付表―4、5には、一列リベット孔の場合の試験片を用いた強度試験結果が示され、その中で、「形式E」の場合の破断応力として17.8kgf/mm2 が示されています。
> 最も大きい応力として10.6kgf/mm2が圧力隔壁の部材に生じています。これは、付表―4、5に示された破断応力の最低値、17.8kgf/mm2を大幅に下回っており、疲労亀裂が進展して強度が落ちている部分でも、圧力隔壁が破断しないことを示しています。

報告書の読み方が杜撰と言わざるを得ないです。完全に誤読しています。

付表4,5【報告書別冊p10】は、付図9(1)(2)【別冊p20】に示された供試体を評価したものです。
この供試体は、圧力隔壁の強度を直接評価するためのものではありません。

簡単に言えば、圧力隔壁の現物の残留強度を評価するために、どのような数値解析方法を選ぶのがよいかを調べただけです。
これによって単に「有効断面全面降伏の条件を用いる方法」が圧力隔壁の残留強度の評価に適してると判断されただけです【別冊p6-7】。

別に、付表4,5の数値が、墜落現場から回収された圧力隔壁の残留強度そのものを示しているというわけではありません。

だから、事故機の内外圧力差8.66psiの時に圧力隔壁にかかる推定応力が約10kgf/m㎡だとして
それが「付表―4、5に示された破断応力の最低値、17.8kgf/mm2を大幅に下回って」いるとしても、この大小関係自体は、圧力隔壁の破断とは基本的に関係のない話です。

冒頭に掲示された鷹富士さんの主張は、供試体の試験結果=圧力隔壁残留強度、を前提としなければ成り立ちません。
反論ありましたら、供試体の試験結果(付表4,5)=圧力隔壁残留強度と言い切ってよい具体的根拠を報告書の記載からご提示ください。

> 事故調報告書「別冊」のページ3以降(付録-1)で、圧力隔壁の破壊についての解析結果が示されています。

>  この中のページ10の付表―4、5には、一列リベット孔の場合の試験片を用いた強度試験結果が示され、その中で、「形式E」の場合の破断応力として17.8kgf/mm2 が示されています。 ページ21の附図ー10で、修理ミスによる1列リベット孔の疲労亀裂が進展し強度が落ちている程度を、種々の形式の試験片により確認しており、「形式E」が、最も強度低下の大きい場合です。
>  
>  ページ15の付図―4に示す数値は、球殻状の構造において、内外の差圧に対する部材(板)の円周方向応力を示し、球殻の曲率半径を部材の厚みの2倍で割った値です。
> 例えば、曲率半径が2.5m、板圧0.8mmなら、2500÷(0.8×2)≒1563=1.563kとなります。
>  以下、1ksi=1000psi、 1psi=6895Pa、 1Pa=1N/m2、 1kgf=9.8N として計算。

>  異常事態発生直前の与圧による隔壁内外の差圧は、別ページで8.66psiと計算されています。附図―4の数値のうち最も大きい1.74を採って計算すると、
>        1.74×1000×8.66×6895Pa≒103.89×1000000N/m2=103.89N/mm2≒10.6kgf/mm2
> となり、最も大きい応力として10.6kgf/mm2が圧力隔壁の部材に生じています。これは、付表―4、5に示された破断応力の最低値、17.8kgf/mm2を大幅に下回っており、疲労亀裂が進展して強度が落ちている部分でも、圧力隔壁が破断しないことを示しています。

>  ページ11の付表―6には、圧力隔壁L18接続部の推定破断圧力が示されています。最上段には、最も弱い部分のベイ2で破断が始まる時の推定圧力として6.9~9.4psiが記されています。

>  付表―6の数値の6.9と9.4について上記と同様に計算すると、8.4kgf/mm2と11.5kgf/mm2が得られ、付表―4,5の破断応力の半分にも足りません。

>  「別冊」が採用した付表―6の推定破断圧力は、ページ8の附表―2に示された0.2%耐力の30.5kgf/mm2を基に、リベット孔や疲労亀裂による実効断面積の減少を考慮した数値を有効断面全面降伏時の応力とし、これに付図―4の数値から逆算して差圧を求め、さらに、その数値を50%に減じたものです。
>  しかし、0.2%耐力とは、破断ではなく永久変形をもたらす力であり、破断応力よりもかなり小さな力です。つまり、付表―6の推定破断圧力は、試験片を用いた強度試験結果を無視し、その40~45%程度の力で破壊するかのように偽装したものです。50%に減じた根拠はどこにも説明されていません。

>  付表―6については、ベイ2およびベイ3までが破断した場合の圧力と比べ、 ベイ4、ベイ5の破断圧力が殆ど増えていないことも不自然です。ベイ4、ベイ5は正常な2列リベットで結合されているので本来の強度を保ち、放射状のスティフナー(厚み2.4mmのZ型部材)の働きで応力の集中も抑えられ、この部分の破断圧力は、ベイ2およびベイ3が仮に破断しても、ベイ4の手前で破断が停止する強度を保っています。付表―6の数値全体が、計算や実験データに基づいた合理的な根拠の無い、隔壁破壊を偽装するための恣意的な数値を並べたと言わざるをえません。
> 附図―4の中には、リング状の4本のストラップに生ずる応力も示され、これらはウェブに生ずる応力の概ね3分の1です。ウェブの厚みが0.8mmに対し、ストラップの厚みは2.4mmであることに依っています。仮にベイ2またはベイ3から破壊が始まっても、ストラップで破壊の進行が止まり、隣のベイへは進まないことを示しています。

>  事故調の強度試験に使われた試験片は、単純な短冊形の薄い板材にリベット孔と疲労亀裂を想定したスリットを加工したものですが、本来は、実機と同様に、ストラップとスティフナーに対応する部材をリベット止めした試験片による試験も行うべきです。それでは強度が上がることが確認されて不都合だから、データを隠したという疑いが残ります。、

>  試験データを合理的に解釈すれば、隔壁全体が内圧に耐える充分な強度を残しています。事故調の結論は欺瞞です。

> この掲示板には上付き小文字を使用できないので、上記説明では、「平方メートル」を「m2」「平方ミリメートル」を「mm2」と表記します。

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