Re.(11) 垂直尾翼点検口の蓋?

  • 投稿No.441 元投稿No.414 嵐さんへの返信
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  • 投稿日:2022-01-01 16:52:24

元日より失礼します。
掲示板の読者様から飛行中の最後の一分間へのリクエストが強いようですが、
私は相模湾上空における最初の時点で何があったのか?にこだわりたいと思います。

事故調査報告書(本編)の79ページをご覧ください。図15垂直尾翼欠損図がのっています。
これは、空気圧力で吹き飛んだ部位をハッチングで示しています。
そしてその図は垂直尾翼の固定翼部の約上半分が吹き飛んだとしています。

次に同報告書の163ページ付図27,28の垂直尾翼損壊図(右・左)をご覧ください。
ここには、垂直尾翼内部の縦横に走る骨格が線で示されています。
垂直尾翼内部の立体的な詳しい構造は「日航 安全啓発センタ」などで検索してもらうと模型の写真が出てくると思います。

事故調査報告書にあるように内圧で垂直尾翼を内側から均一に押した場合、皆さんはどこから壊れるとお思いでしょうか?
事故調査報告書79ページにある上半分が吹っ飛ぶでしょうか?
いいえ違います。垂直尾翼内部の縦横に走る骨格により仕切られた四角の面積が最も大きな場所から壊れます。
理由は、内圧が均等なら面積の大きなエリアに最も大きな荷重が掛かるためです。
そうした最も大きな四角は垂直尾翼の付け根に存在します。
さらに最も大きな四角の4つの辺の内、最も長い辺の中央のリベットから真っ先に飛びます。
しかし、報告書163ページの図の脚注には垂直尾翼の根元部分は墜落現場の山中より回収したとされています。
垂直尾翼の上半分が相模湾に落下し、垂直尾翼の根元が御巣鷹で発見された?
これは事故調査報告書にある隔壁破壊説と真っ向矛盾します。

では一体何が垂直尾翼を壊したのか?
様々な説が存在するのはご存じのとうりです。私自身、証拠を持っていないので外部から何かが当たったとする話はいたしません。
ここでは機体自らが垂直尾翼を破壊した場合についてお話しします。
以下に先人が示した説を列挙し、それらの確からしさを考察してみます。
<説>
・圧力隔壁説・・・事故調査報告書←垂直尾翼の破壊する場所が上記のように異なるので除外
・補助エンジン爆発説・・・角田氏の著書←事故調査報書と同じ理由で除外
・垂直尾翼外板浮き上がり説・・・日航「臼井」氏説←垂直尾翼の上半分で浮き上がりが生じるとあり得る。
・SR機特有の離発着、転舵回数による疲労+シリモチ事故の後遺症による破壊説
              ・・・YouTubeの「沈黙の翼」by Jikusen Takahiro←臼井説同様にあり得る。
<考察>
上記の臼井氏の「外板浮き上がり説」は外板の空いた隙から空気が侵入し、機体後部を動圧という形で内圧を高めることで吹き飛んだとする説です。
この説を受けて当方が時速800km/hで外板が浮き上がった際に生じる動圧を計算してみたところ、20atmに達しました。
この数値は、充分垂直尾翼はおろか圧力隔壁をも破壊する圧力に達しますし、内圧で破裂した垂直尾翼がソニックブームをも発生させます。
また、臼井説を裏付ける情報として事故調査報告書の205,206ページの写真58,59を覧ください。
写真58,59は垂直尾翼のリベット穴に端を発した黒い汚れを示しています。
この汚れの成分についても本文中に「アルミ」「油」・・・であったと記されています。
この黒い汚れは相当長い時間を掛けてリベット本体もしくはリベット穴の摩耗が進行していたことを示しており、その摩耗紛が見える形になったものです。
よって、123便の垂直尾翼のリベットに緩みが存在していたことを示し、外板の浮きがあった可能性を示唆しています。

次にJikusen説ですが、これはご覧になっている方であればご存じの説だと思います。
この説の核心は「SR機であった故に全世界の747の中で最も過酷な垂直尾翼の転舵耐久試験をやったていたこと」と説明されています。
もっともな話だと思います。
そして、この説を裏付ける情報として、再度報告書の79ページの図15をご覧ください。
この図の固定翼で吹き飛んだ上半分の後端位置に注目してください。黒と白で色分けされた境界線の機体後ろ側の点です。
この場所は、可動翼を動かす「アクチュエータ」(油圧のパワーシリンダ)のある場所です。
123便のSR100型は可動翼を動かすためのアクチュエータは1つだけでした。123便の数年後に登場した400型はアクチュエータの数を2つに増設しています。
垂直尾翼を作動させる際、風の抗力に打ち勝って動かす役割をするのがアクチュエータになります。
そして可動翼の抗力の全てをアクチュエータで支えます。
そのため、垂直尾翼の転舵回数による疲労試験を行うとアクチュエータの場所から破壊が始まります。Jikusen説に符合します。
400型でアクチュエータを2個に増設したのは、SR100型の垂直尾翼の弱点を補強したと考えられます。
問題はB社は何時から垂直尾翼の弱点を知っていて設計変更をしたのか?が重要だと思います。
123便の前から知っていたとしたら・・・・・・。

以上のように垂直尾翼が吹き飛んだ原因は「臼井説」「Jikusen説」のどちらか、もしくはこの2つが複合したと考えられます。