Re.(18) エルロン動いたヘの道

  • 投稿No.3136 元投稿No.3120 文系ちゃんさんへの返信
  • 投稿者:文系ちゃん
  • 投稿日:2024-03-25 12:31:59

パイロットによる操縦桿の操作が、どのように伝わっているのかの確認の続きですが、今回は番外編的な内容となります。

5chにてエレベータの作動について考察していましたところ、資料提供を頂きました。

航空学会誌 第4巻 第35号  野田親則  ジェット機の操縦装置の問題 
  
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsass1953/4/35/4_35_324/_pdf

その中の9番目の項目のところにはこのように書かれていました。
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可逆的ブースターでも、不可逆パワ ・コントロールでもバルブの行程には機械的なストップがある。
したがって油圧系統が故障した場合に操縦桿(ペダル)を操作するとバルブの最大行程に達 して、それ以後はバルブのケースを介 し、またはfollow-up機構を介してパワ ・コン トロールの入力側と出力系とは機械的に連絡する。
もしシリンダ内の作動油が自由に流通できるならば手動操作が可能になる。
*********************

油圧系統が故障した際の油圧装置の作動に関しての記述ですが、この中でも、「不可逆パワーコントロールでも」となっている箇所が特に重要です。
これまで多くの方が、不可逆装置であるがゆえに、事故機においては油圧喪失後補助翼は動かなくなったものと推察されていたようですが、実際のところ、747の構造からすれば、操作記録であるCCPチャートなりの動きをしていたものと考えるのが適切であろうと判断しました。

これまでも自分としては、動翼は動いていたものとして、その原理的なものを確認してきていましたが、今回貴重な文献の情報を頂き、考えに間違いがないとの思いを深めることとなりました。
ここに情報共有を目的としてリンクを貼らせて頂くと同時に、情報を提供下さった方には 厚くお礼申し上げます。

(以下はあちらに書いた自分の書き込みです 日本語的に微妙な箇所もありますが、ご容赦下さい)
そもそも公開されてるDFDRデータが正しいのか?というのもあるが、それは一旦置いといて

CCPは桿の角度そのものとしても、エレベータ動翼までには機械的ガタつき、ワイヤーのたわみ、伸びの存在の考慮は要する

それ以上に、エレベータアクチュエーターのコントロールバルブをストロークさせて機械的リミット、どん突きに至るまでの桿の操作は、動翼の位置には一切反映されないことは明白で、それがどれくらいなのかは実機による としか今は言えない

このバルブをストロークさせる区間というのは、桿の角度の中立の前後X度ずつ となるのではなく、動翼の角度によって変化する
よって桿の操作により動翼がどのような角度となっていたのかは、それらの要素を差っ引いたものとなる

これは調査すれば分かる話で、操縦性 つまりは操縦桿の操作が機体にどのような影響を与えたのかを考える際には、CCPを推定動翼角に変換したものを使用しないといけない

油圧正常時は、圧倒的強さの油圧、つまりは操縦桿の操作側が一方的に動翼を支配的に動かしていたが、油圧喪失以降は人力による操作力と動翼舵面が受ける風圧により動こうとする力との、合成or差引きの力が操縦桿と動翼の角度を決めるものと推測される

なお、アクチュエーター内部やその付近に作動油が残っている場合は、動翼側からの入力は、配管途中にある逆止弁の作用の影響を受けるものと考えられる

途中横田に向かったとか、川上村レタス畑に着陸しようとしていたとかの説があるのに対して、油圧喪失なのにどうやるんだよ といったような反論があったが、それに対しては、スロットルコントロールのみでも可能であるものと推定はするが、それに加えて不完全ながらも操縦桿の操作が反映されていたのであれば、可能性は大幅に広がる

事故調の調査で事故機の状態を再現したシミュレータ実験では、操縦困難で程なくでの墜落不可避的な結果となっていたものと記憶しているが、それは、30分を超える飛行を継続し、なお3000mくらいの高度を維持していた123便の状況とは一致しない

このことからすれば、シミュレータ試験のパラメータ設定が不適切で、それが何か となれば、操縦桿による操作の反映ではなかろうか と考える

事故報告書において、油圧喪失により動翼は不動とされていたものと目されるが、それは事実とは異なると考えられる
墜落の一次原因は垂直尾翼の破損および油圧の喪失であったとしても、その状況から墜落に至るまでにはまた別の原因があると考えざるを得ない
動翼が操縦桿の操作により動いていたと考えられるということが事実であると確定すれば、これは新事実として事故の調査は再開されるべきだろう