墜落の夏(吉岡忍著)を読んで

  • 投稿No.2529
  • 投稿者:鷹富士
  • 投稿日:2023-02-19 17:15:30

1、落合由美さんに対するインタビューから。
「パーンという音と殆ど同時に酸素マスクが落ちてきた。・・・それと同時に白い霧のようなものが出ました。・・・・
霧のようなものは数秒で消えました。・・・空気の流れは感じませんでした。・・・飛行機が降下している感じはほとんどありませんでした。・・・・
私の席に近い左の窓から見えたのは真っ白な雲だけでした。・・・そのうちに酸素が出なくなりました。・・・・
いつだったか、酸素マスクは何分くらいもつのかたずねられて18分くらいと計算したことがあります。・・・・
私は羽田にもどればいいなと感じていました。しかし、まだ雲の上で高度も高いし、ちょっと無理なんじゃないか、とだんだん不安になってきました。・・・・
機体の揺れはじっと立っていられないほどでした。・・・・
こういう場面になると女の人のほうが冷静なようです。泣きそうになっているのは男性でした。これはとても印象深かったことです。・・・・
揺れはいっそう大きくなりました。もう立っていることはできないほどです。・・・・そして、そのとき、窓の外のやや下方に富士山が見えたのです。・・・・」
(富士山が見えたのは異常事態発生後、20分近く経ってから、とわかります。)

2、午後6時24分35秒に「ドーン」という異常音が発生し、その直後にコックピットには客室高度警報が鳴り響いた。・・・・
客室高度警報音は客室の気圧が異常に低下した時に鳴る警報装置である。・・・・客室の気圧が0.7気圧より低下したとき鳴り出す。・・・・
「ドーン」の3秒後には、自動操縦のスイッチは手動操縦に切り替わっている。しかし、手動に切り替わったときに鳴るはずの警報音は、なぜか記録されていない。・・・・
(この部分を吉岡氏は、事故調報告書の説明に忠実に従って記していますが、
日乗連の方たちは、「ドーン」の直後に聞こえる警報音は、自動操縦解除警報であって、客室高度警報ではないと主張しています。
事故調報告書「本文」p305~p306にある、DFDRの中のCMD(Auto Pilot Engage Command)を見ると、24分36秒に信号が途切れており、
この時に自動操縦解除警報が鳴ったはずで、日乗連の方たちの主張を裏付けています。
事故調の説明は、「圧力隔壁破壊=急減圧」のストーリーを成立させるために、CVRに録音された警報の意味を偽っています。
つまり、急減圧は発生せず、衝撃で自動操縦装置に異常を生じたというのが真相です。)

3、・・・機体尾部に入って見た。・・・垂直安定板の内部はちょうど真上にまっすぐ上がっていく大きな階段を思わせた。
手摺にあたる頑丈な部分がスパーであり、踏み板にあたる部分は約60センチ間隔で組まれた20枚の金属板である。
スパーと尾翼の外板とがこれらの金属板によって結合されている様子は一見したかぎりでは、堅固な鉄塔を組んだように見え、
ねじれにも引張りにもびくともしない強度を持っているようだった。
(仮に内圧で外板は剥がれても、スパーなどの堅固な構造物までもが一瞬にして崩壊することは考えられない、ということです。)