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御巣鷹山の悲劇
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自分にとって大切な人の命が何の前触れもなく突然奪われてしまうというのは魂を吸い取られ、生きる気力を失わせてしまうような出来事に違いない。 『疑惑 JAL123便墜落事故』の著者、角田四郎さんのごく親しい友人が、犠牲者遺族にはカウントされないが、そういった悲しい出来事に遭遇された。 『疑惑 JAL123便墜落事故』109ページ~ (1985年)8月16日の深夜、たぶん午前0時を過ぎていたであろう。 電話のベルが鳴り響いた。出てみると友人のK氏であった。 ごく親しい友人である。 「夜分済みません。ちょっと話を聞いていただきたいので、出てきて頂けませんか?」 電話の声は心なしか沈んでいる。酒に酔っての電話でもなさそうだし、どうせまだ暑くて眠れそうにないと、その程度の思いで「よし、行く!」と答えて街に出た。 夏の12時の六本木は、一日のうちで最も賑わう時間である。(この時代はそうだった) 行きつけの店で友人に逢った。その店の主人も友人の用件を知っているらしく、いつもバカ話で楽しむカウンターの奥の席ではなく、人目に付かない席が用意されていた。 「いや、申し訳ありません夜分に」店の主人が私を見るなり、そういうので驚いた。 ・店のマスター 「私が勝手にダイヤルを回して、Kさんに話させたんです。この人遠慮ばかりしているもんだからつい。話だけでも聞いてあげて下さい」 ・友人のK 「この間、角田さんが日航機の話してたでしょ。あれ思い出して電話したんですよ」 ・角田四郎さん 私はキツネにつままれた様な気持ちでK氏の前に座った。そして彼の顔を見たとたんに私は血の気を失った。いつもつき合っているゆったりとした彼ではない、まるで別人の様な友人がそこにいた。 ・友人のK 「スミマセン、こんな時間に・・・・・・前にお引き合わせした僕の彼女、覚えてますか・・・・・・彼女、日航機に乗ってました。123便に」 ・角田四郎さん 「本当に・・・・・・!でも確認したの、乗客名簿は信用出来ないよ、あれだけでは」 ・友人のK 「いいえ、もう彼女の友達も御両親も(遺体安置所のある)藤岡へ行かれてますし・・・・・・」
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