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御巣鷹山の悲劇
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>これほどまでにみなさんのおっしゃることが違うということは急減圧という現象の実態が定まっていないからでしょうか? 言葉で表現するにあたって違いが出ているだけで、基本的には同じ事を言っていると思いますが、私の場合、言うまでもないと思い端折っていた部分はありました。 例えば、垂直尾翼内を含む後部区画に空気が充填される僅かな時間については、最初の説明では省略していました。 我々の日常的感覚で「タメ」が感じられるほどの時間ではないから、空気の流出経路だけ示しておけばいいだろうと考えたのです。 >とすると、「急減圧」とはどれを指した現象なのですか? 段階を分けてお聞きになっているのは分かりますが、この事故の場合、分けて考える事にあまり意味は無いと思います。 「尾翼等が壊れない想定」をする必要がないからです。 その前にまず、「急減圧も程度問題だ」という事を改めて確認しておいた方がよいかもしれませんね。 専門用語においては、急減圧の様態を3つに分類する定義があるそうです。 爆発型減圧 ・ 突然型減圧 ・ 段階型減圧。 3つとも急減圧の中の区分けです。 この、どれもが急減圧です。 123便は、その3つの中でいえば、突然型減圧に分類されるといえます(機内の減圧が一段落するまで数秒かかっているので)。 一方で、急減圧と、そうでない減圧の明確なボーダーは不明確です。 しかしたとえばパイロットが与圧のスイッチを操作して、8.9psiから6.9psiに切り替えた場合など「急減圧でない減圧」と言えるかもしれませんね。 あるいはドアシールから空気が漏れる音がしてていて、近づけた紙等が吸い寄せられたとしても、気圧計が下がっていく程でなければ、「急減圧」とは言わないでしょう。 ただし、急減圧の中では一番弱い「段階型減圧」でも、定義のうえでは急減圧に含まれるのですから、我々の感覚では思ったより緩やかな減圧であっても、専門用語的にはそれを急減圧と呼ぶのが正しいようです。 たまに「123便は、急減圧ではなく、緩やかな減圧だったのではないか」と言っている人が居ますが、専門用語的にはその喋り方じたいが間違っています。(その人が何を言いたいか、ニュアンスは分りますが) もしその人が専門家なのであれば「突然型減圧ではなく、段階型減圧だったのではないか」などと言うべきでしょう。 当該事故の場合、減圧の激しさを決定しているのは、結局「隔壁に開いた穴の大きさ」です。 ただし、くどいようですが「垂直尾翼等が壊れないほど小さい穴が開いたという想定」をする必要は無いはずです。 もし壊れないという想定であれば、客室空気の移動が後部区画へ流れた段階で大体止まるから、客室の減圧の程度も緩やかだったという事になりますが、それでは尾翼が壊れません。 その想定では、奥多摩で撮られた「垂直尾翼が欠けた写真」と辻褄が合いません。 なので、ありえないケースとして、除外していいはずです。 尾翼が壊れたということは、自動的に「隔壁の穴はそれ相応の大きさだった」という事になります。 穴がその大きさだからこそ、尾翼等は壊れ、空気は機外にまで流出した。 そうして空気が抜けていった訳なので、客室の減圧の具合も、穴の大きさで決まっていたという事です。 しかし、ここで注意していただきたいのは、「客室は機外と全く同じ環境になった」とか「猛烈な風が吹いた」という事を意味しないという事です。 「尾翼等が壊れるに値する隔壁の穴の大きさ」というのは下限の話です。 想定される穴の大きさには、上限もあります。 生存者の記憶や言葉には揺らぎもあるでしょうが、証言とほぼ一致する環境が再現される必要があります。 すなわち、無制限に穴を大きくしていい訳ではありません。 後部圧力隔壁が全部けしとんだとか、飛行機のボディが一瞬で消滅したかのような極端な環境条件を言ったら、さすがに生存者の証言と乖離が激しすぎます。 ちなみに、車の窓を開けて走ったところを想像しろとかは、まったく誤解の元です。 それで入ってくる風はラム圧によるものであって、減圧によるものとは全く意味が違います。
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