日航123便墜落事件・JAL裁判(青山透子著)を読んで

  • 投稿No.2480
  • 投稿者:鷹富士
  • 投稿日:2023-01-15 17:12:23

はじめに、この裁判の原告・吉備素子さんの「真相を究明したい」という真摯な気持ちに敬意を表し、その活動を応援したいと思います。
原告が求めたのはCVRとDFDRの生テープの開示で、一審判決の原告敗訴という判断には納得できませんが、裁判自体は最高裁まで行くようなので、これ以上のコメントは控えます。

青山氏がこの著書で述べた内容については、賛同できる点も疑問に感ずる点もそれぞれに多々ありますが、細部を別として、主要な4点を下記に述べます。

1、この著書には「異常外力の着力点」という言葉が20箇所余(p18・・・・・・・p309)に出てきます。
この言葉は事故調報告書「別冊」の付録ー6の解析に載っている言葉で、青山氏は、事故調報告書のこの解析を根拠に
「日航機の垂直尾翼側面に飛翔体が当たり、11トンの巨大な力を生じて垂直尾翼を破壊させたもので、事故調はそのことを認識していた」と論じています。
しかし、青山氏は事故調報告書の解析を誤解しています。
まず、「着力点」および「外力」という構造力学の用語の意味を誤解しています。
次に、付録-6の説明では、「11トン」の力は防火壁が内圧で破壊して離脱した時に生ずる前方向の反力であって、垂直尾翼に生ずる力ではありません。
さらに、付録ー6の計算では、異常外力は上から下へ向かう力であり、75キロポンド(34トン)の巨大な力で、これは、側面から何かがぶつかったためでなく、垂直尾翼が内圧で破壊したことを想定して計算しています。(ただし、青山氏の解釈とは別の意味で、事故調報告書の解析は誤りです。念のため。)

青山氏の「異常外力の着力点」に関する誤解は、前著の「圧力隔壁説をくつがえす」に始まり、その著作を読んだ人から青山氏の誤解を指摘されているのにそれを受け入れず、今回の裁判資料およびこの著書にそのまま引き継がれています。

事故調報告書を読みかつ理解できる人は極めて稀であることを見越した記述です。

2、CVRに関する疑問を、p53~p57など、10ページに亘って述べています。様々に疑惑が述べられていますが、それらを解明する手段を講じないまま、この著作の中で、市中に出回っているCVRのコピーは偽者、と決め付けている点は賛同できません。

3、ある時期に「日航123便事件は自衛隊がやった」という話が日航幹部の中で語られていた、とp80~p82で述べています。それは、日航の責任逃れのための作り話なのか、確かな根拠に基づく話なのか、追求が必要と思います。

4、DFDRに関しては具体的な疑問が述べられていません。従って、この裁判で開示請求した理由が曖昧です。