油圧機器の仕組み

  • 投稿No.2313
  • 投稿者:風のたより
  • 投稿日:2022-10-29 05:04:51

小田様からの呼び掛けの最中申し訳ありません。
枝葉末節の話をさせていただきます。
123便がインシデント後に羽田に戻るライトターンと発し、自由が効かない状態で機長の意図する航跡を辿っていたのは間違いありません。
物理的に消失したラダーは別としてエルロンとエレベータは操作を受け付けつけたと考えます。
過去にも書き込みいたしましたが、油圧機器は常時、圧力を発生していません。
常時は単に作動油を圧送しており、回路中の圧は1atm以下の背圧しか掛かっていません。
スプールバルブが作動することで圧力が上昇し最大200atmに達します。
そうした機器の特性を踏まえて123便に起きたことをお考え下さい。
作動油の流れはリザーブタンク→ポンプ→バルブ→アクチュエータ→リザーブタンクヘ戻る。です。
FEのハイドロ落っこちています。の発言は通常時であれば1atm程度あるはずの背圧が下ったことを指しています。排圧が下った理由は、リザーブタンクが空になったことでポンプが空気を圧送して回路中の作動油がなくなったことを意味します。
そのまま放置するとポンプの焼き付きでロックするのでFEがポンプのクラッチを切ったと想像します。
以前、バルブやアクチュエータ内の作動油が邪魔をして操縦桿は動かないといった議論がされていましたが、回路中の作動油がなくなるので作動油が操作の邪魔はしません。
作動油消失後の稼働翼を動かすのを邪魔する力は空気力とバタつき防止のダンピング力の2つです。
当然、B747の空気力は大きいので一気に大きな翼作動角を与えることは不可能です。
しかし、機体の動きに合わせて操作力を加え続けるとかなりの大きさの作動角が得られ姿勢変化を起こせたと考えます。
これを裏付けるものに機長のそんなにバンク取るな。という発言があります。
長い時間大きな力を加え続けて姿勢変化が生じた後、短時間で修整するのが困難な状態だった際に発せられた言葉と想像します。
そのため、DFDRに見られる小刻みな操作の繰り返しで機体姿勢の変化をさせるようになったと考えます。
最後に、B747-100はFBY以前の古い機体です。差動油消失後にメカニカルな操作を可能にする構造が厳格に義務付けられています。
そうしたことを無視する議論はナンセンスだと申し上げます。
また、DFDRの加速度情報の積分による航跡計算は精度が悪いのは一般常識です。
手間を掛けて計算しても、途中の目撃情報や落下物による位置補正が必要になります。それでは、結局どの目撃情報を取捨選択したかで航路はいくらでも変わることになります。
以上です。

追伸、文系ちゃん様ヘ
駐機中の稼働翼の動きは、作動油が存在しますので、123便のインシデント後と状況が異なります。