Re. ボイスレコーダー開示裁判の結果(東京地方裁判所)

  • 投稿No.2296 元投稿No.2286 せきたにさんへの返信
  • 投稿者:風のたより
  • 投稿日:2022-10-20 23:23:32

せきたにさんへ

せきたにさんは、事故調査報告書の隔壁破壊説は昔のJAL,ボーイングの刑事責任を問う際、否定されたと言われていました。
ですが、今回のボイスレコーダー開示の裁判官の棄却理由を見ると事故調査報告書は現在も有効になっていませんか?
犯人探しよりも事故調査報告書の技術内容の間違い探しのほうが優先順位高くないですか?

> 今月10月13日に東京地方裁判所の806号法廷においてボイスレコーダー開示裁判の判決があった。

> 原告は奥様の吉備素子さんで、あの墜落事故でご主人の雅男さんが犠牲者となられたという。

> 争点については以下のようなものだが、要するに原告側は被告側に対して、事故原因を明らかにするためにオリジナルのボイスレコーダーを開示してほしいというものだった。

> 1 原告が被告に対して、人格権に基づく開示請求権を有するかについて

> ★原告側の主張 → 飛行関連のデータは死に至る直前の個人に関する重要な情報であり、本件事故調査報告書に記載されていない真実の究明に不可欠である。人格権としてのプライバシー権(自己情報コントロール権)によっても保護され、開示請求権が認められるべきである。遺族にとっても敬愛追慕の情に関わる重要な情報である。

> ★被告側の主張 → 原告の主張する内容は、国や公共団体を律するものであって、私人間(JALは単なる私企業にすぎない)を直接規律するものではないので、JALが持っているものは、保有個人データに該当しない。敬愛追慕の情が法律上保護される場合があっても、遺族固有の権利でそのような開示請求権が認められることはない。

> 2 国内旅客運送約款、運送契約に従って、被告のJALと乗客(吉備雅男)との間に締結した法律関係にもとづき、その付随義務を負っていたJALが安全配慮義務も負っていたため、開示すべきかどうかについて

> ★原告の主張 → 契約当事者間に情報収集力、分析力に格差があるからこそ、運送人は情報提供義務がある。墜落死亡後、それが原告に相続されたのであり、信義則上、情報提供義務を負うべきである。

> ★被告の主張 → その義務はあるとしても、生データ開示請求権まではない。JALは事故調査委員会に協力しており、事故調査報告書に記されている通りである。また、原告と被告の和解が成立したところで、それは消滅する。

>  判決はどうであったか。
>  なぜか今回の裁判では判決直前になって突然裁判長が変更になったという。
>  そして判決を言い渡した裁判長は「ボイスレコーダーは個人情報を含むものではない」という判断を下した。

> → 判決主文(東京地方裁判所 加本牧子裁判長)
> 「原告の請求をいずれも棄却する。」
> 「訴訟費用は原告の負担とする。」

>  日航は犠牲者遺族とは和解済みだという。
>  しかしながら、犠牲者遺族は日航と事故原因に関して和解をした覚えはないという。事故後まもなく受け取ったお金はいわゆる見舞金のような性質のものでるという受け止め方だった。
>  事故原因に関して不審を持ち始められたのは相当後になってからのことだという。

>  裁判長の判断として示されたのは、事案の墜落事故では「事故調査報告書」が作成され公表されており、改めてボイスレコーダーを開示して事故原因を詮索する必要はないという。
>  日本航空側は「双方の主張・立証をふまえ、ご審理いただいた結果であると受け止めています」というコメントを出されているようだが、実は「事故調査報告書」は専門家が一読してみても難解でわかりにくいものだとされている。

>  また、1990年7月に犠牲者遺族側が事故原因についての理解が及ばないながらも「事故調査報告書」の通りであるならば、「日航、航空局、ボーイング社」の三者には過失責任があるはずだ、としてそれら三者を相手に裁判を起こされた。
>  その裁判で前橋地検は、事故原因に関して事故調査報告書に記されているところの相模湾上空における圧力隔壁損解説については疑わしいという判断を下しており、結果的に不起訴処分となっている。

>  それならば本当の事故原因は何だったのかを知りたがるのは犠牲者遺族の人情というものだ。
>  原告の吉備さん側は今回の判決について納得されていない。不当判決だとして控訴する予定だという。