垂直尾翼の内圧

  • 投稿No.1708
  • 投稿者:鷹富士
  • 投稿日:2022-05-06 14:48:20

事故調報告書「別冊」のページ53以降(付録―4)で、圧力隔壁が破壊した場合の、防火壁および垂直尾翼の破壊を論じています。
ページ70の付図―1に示すように、機内の全体を8室に分け、その中でも、圧力隔壁と防火壁との間を三つの室(2室、5室、6室)に、垂直尾翼を前後二つの室(4室、3室)に分け、また、各室の諸元をページ64の付表―2に記載しています。仮に、圧力隔壁が破壊し、そこから客室内の空気が高速で噴出した、という想定で各室の圧力の変化を、ページ75とページ76の付図―4(c=6室と3室)と(d=2室、5室、4室)に示しています。

 時間軸で8秒の長さを描いていて解りにくいのですが、図の左端部分、圧力隔壁が破壊した瞬間を始点の0秒とし、それから0.5秒までの短時間の各室の圧力変化に注目します。
 不自然に感ずることは、防火壁が離脱して6室の気圧が0.05秒以後、急速に低下しているのに、2室および5室の気圧が上昇を続け、従って、垂直尾翼の3室への空気の流入が続いていることです。

 このからくりは、5室と6室の間の壁の孔の風路断面積を小さく設定して、5室と2室の気圧の低下を遅らせ、垂直尾翼の3室への流入が続き、垂直尾翼内の気圧が上がるように騙ったことにあります。

 防火壁の離脱によって6室の気圧は急速に低下し、0.1秒以降0.5秒まで、6室から外気へは約3.9m2の風路断面積と差圧約3.4~3kPaによって空気が機外へ流出することが、ページ75の付図―4(c)に示されています。
 同量の空気が5室から6室へ流れますが、そのためには5室と6室との間の(付表―2の)風路断面積1.228m2に対し差圧約11~9.5kPaを想定できますから、これに6室の気圧を加え、5室は外気圧に対して概ね14.4~12.5kPaの差圧になります。同様に2室と5室の間の風路断面積2.398 m2により計算すると、2室は外気圧に対して概ね20~17.4kPaの差圧となります。
 (ここでは、「3.9×3÷1.228≒9.5」、「3.9×3÷2.398≒4.9」のように計算しています。)

 防火壁離脱後の2室と5室の気圧の急速な低下は、6室よりは少し遅れかつ緩く、0.15秒以降、上記のように変化し、当然ながら、2室の上にある3室(垂直尾翼)の気圧は2室の気圧より低く、事故調が想定する4.75psi(約34kPa)には達しないままで、垂直尾翼は破壊しないことになります。

 この掲示板では図を添付できないので、文章のみで説明すると解りにくいかもしれませんが、時間軸を長く延ばした図に描きなおすと歴然とします。

付図―4(c)の3室の曲線は、付表―2に記す5室と6室との間の風路断面積1.228 m2ではなく、もっと小さな数値(0.5 m2以下)を入れて計算し、圧力隔壁の破壊により垂直尾翼が破壊する、というシナリオをでっち上げるための欺瞞です。

 なお、水平安定板は胴体後部を貫通し、その前と後にそれを支える構造物があって風流を妨げますから、圧力隔壁と防火壁との間を3室に分けて計算するのは妥当ですが、2室と5室の間(水平安定板の前)の風路断面積2.398 m2、5室と6室の間(水平安定板の後)の風路断面積1.228 m2は、いずれも異様に狭いように感じます。「別冊」に示す緒元から計算すると、2室、5室、6室の平均断面積はそれぞれ約14 m2、8 m2、5.2 m2あり、風路断面積がそれらの4分の1程度しかないのは不可解です。この点も、圧力隔壁の破壊により垂直尾翼が破壊する、というシナリオのための作為を感じます。

この掲示板では上付き小文字を使えないので、面積の単位として、上記の文では「平方メートル」を「m2」と表記します。